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1,780円 女性の声域で歌う男性歌手は、存在の本質がそうあらしめるのか、たいがい演劇的な音楽性を持っている。岡本知高もまた例にもれない。そして、彼の場合はその度合いがはなはだしいのである。映画の演技と舞台の演技では、後者の方が何事によらず誇張されたものになるというが、岡本は明らかに舞台俳優のタイプだ。メリハリがはっきりとし、節回しが大振りである。ここぞとなれば押しの一手だ。となれば、彼に合ったレパートリーというものが、ある程度見えてくる。
この2枚組アルバムの1枚目にあたるクラシック編でいえば、ヘンデルの「私を泣かせてください」のように曲想が豊かなもの、カタラーニの「さようなら、ふるさと